環境とサステナブル配送Vol.4 共同配送の力 ― 企業連携で実現する効率化と持続可能な物流の未来

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【Part1】共同配送が注目される背景 ― 効率と環境の両立をめざして

私たちの暮らしに欠かせない宅配サービス。ネット通販の拡大により、今では一日に何億もの荷物が国内を行き交っています。その一方で、物流現場は人手不足、燃料費の高騰、再配達の増加など、深刻な課題を抱えています。こうした問題を根本から解決する手段として、今「共同配送」が注目を集めています。

共同配送とは、複数の企業が協力して配送ルートや車両を共有し、効率的に荷物を運ぶ仕組みのことです。これまで、メーカーや小売業者、運送会社はそれぞれ独自に配送網を持ち、競争的に運営してきました。しかし、同じエリアに複数のトラックが個別に走る非効率な構造は、燃料の無駄遣いやCO₂排出量の増加を招いていました。
そこで「競争」から「協働」へという発想の転換が始まったのです。

背景には、社会全体のサステナビリティ意識の高まりがあります。政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」目標に向け、物流業界にも脱炭素化が求められています。配送トラックの走行距離やアイドリング時間を減らすことは、温室効果ガスの削減に直結します。つまり、共同配送は単なるコスト削減の手段ではなく、環境保全にも貢献する社会的取り組みとして位置づけられているのです。

また、共同配送はドライバー不足の解消にも寄与します。これまで別々に運行していた車両を統合することで、同じ荷量をより少ない車両でまかなうことができます。走行距離の短縮により労働時間の削減も可能となり、働き方改革や安全運転の推進にもつながります。物流の効率化と働く人の負担軽減――この両立こそが、今後の持続可能な物流の鍵といえるでしょう。

実際に、日本国内でも共同配送の取り組みは広がっています。
たとえば、食品業界では競合するメーカー同士が同一エリアでの配送を一本化し、トラックの積載効率を向上させています。また、自治体が主導して地元企業と連携する「地域共同配送モデル」も登場。都市部では交通渋滞や騒音を減らし、地方では配送網の維持を支える役割を果たしています。

さらに、消費者の意識変化も後押ししています。
「環境にやさしい配送を選びたい」「エコな取り組みをしている企業を応援したい」といった考えが広がり、企業にとっても“グリーンな物流”を打ち出すことはブランド価値の向上につながっています。かつての“速さと安さ”の競争から、今は“環境と信頼”の競争へとシフトしているのです。

共同配送は、単なる物流改革ではなく、社会全体の持続可能性を高めるための協働モデルです。
ライバル同士が垣根を越えて協力することで、業界全体が強く、しなやかに進化していく――その第一歩が、まさにこの共同配送の動きなのです。

【Part2】進化する共同配送の仕組み ― テクノロジーとデータ連携が変える現場

共同配送という考え方は決して新しいものではありません。かつては地域の同業者が協力して配送トラックを共有したり、共同倉庫を運営したりするケースも見られました。しかし、情報の共有やルート管理が難しく、効率面では限界がありました。
それを根本から変えたのが、近年のデジタル技術とデータ連携の進化です。

現在、物流業界ではAIやIoT、クラウドシステムを活用した“スマート共同配送”の取り組みが進んでいます。
複数の企業が持つ在庫情報や出荷データを一元的に管理し、AIが最適な配送ルートや積載計画を自動で算出します。これにより、異なる企業間でもトラックの空きスペースを有効活用できるようになり、配送効率は飛躍的に向上しました。

特に注目されているのがリアルタイムデータの活用です。
配送中の車両位置、道路渋滞、天候の変化、荷物の到着予定時刻といった情報をクラウド上で共有し、状況に応じて柔軟にルートを再設定する。これにより、無駄な走行や待機時間を削減できるだけでなく、再配達の減少にもつながります。まさに、データが物流を“生きたネットワーク”としてつなげているのです。

また、プラットフォーム型の共同配送サービスも登場しています。
これまで個々の企業が抱えていた配送リソースを、デジタルプラットフォーム上で共有し、最適な組み合わせで配送を実現する仕組みです。
たとえば、ある地域でA社のトラックが空いていれば、同ルート上のB社の荷物を同時に運ぶといった協働が可能になります。これにより、車両稼働率が上がり、CO₂排出量の削減にも貢献します。まさに、テクノロジーが企業間の“見えない壁”を取り払っているのです。

この仕組みを支えているのがデータのオープン化と標準化です。
従来、企業ごとに異なるシステムを使っていたため、情報を共有する際に互換性の問題がありました。
しかし最近では、共通フォーマットでデータを交換できる「物流データ連携基盤」や、企業間のAPI接続が整備され、異業種間でもスムーズな連携が可能になりました。これにより、メーカー、卸、小売、配送会社など、サプライチェーン全体を横断した最適化が現実のものとなっています。

さらに、自動化技術との融合も進んでいます。
倉庫内のロボットが出荷データに基づいて荷物を仕分けし、自動運転トラックや電動車両が共同配送ルートに沿って運行する――そんな次世代の配送ネットワークが、すでに一部の都市で試験導入されています。
人手不足の解消や働き方改革にも直結するこの流れは、今後さらに広がっていくでしょう。

もちろん、課題もあります。
データを共有するには、企業間での信頼関係やセキュリティの確保が欠かせません。機密情報の取り扱いや責任分担、費用配分の仕組みなど、明確なルール作りが求められます。
しかし、それらを乗り越えた先には、業界全体の効率化と環境負荷の軽減という大きな成果が待っています。

共同配送の進化は、単にトラックの運行を共有するだけではありません。
それは、テクノロジーによって企業や地域をつなぎ、物流そのものを“社会インフラ”として再設計する取り組みなのです。

【Part3】持続可能な物流ネットワークへ ― 競争から共創の時代へ

共同配送の取り組みは、単なる“効率化の手段”を超え、今や社会全体の持続可能性を支える新しい物流モデルとして注目されています。
それは、「自社だけが得をする」時代から、「社会全体で価値を生み出す」時代へ――物流業界が新たな転換点を迎えていることを示しています。

共同配送が広がる最大の理由は、社会的課題を同時に解決できる可能性にあります。
例えば、都市部では交通渋滞や排気ガスの削減、地方では人手不足や過疎地域への配送維持が大きな課題です。
企業がそれぞれに対応策を取るよりも、複数社が協働して輸送を最適化すれば、環境にも経済にも優しい仕組みがつくれます。
一社の努力では届かなかった効率化も、「共創」の視点を取り入れることで現実のものになるのです。

また、企業の垣根を越えた連携は、新しい価値の創出にもつながります。
たとえば、物流データの共有から得られる知見をもとに、エリアごとの需要予測や在庫最適化を行えば、配送だけでなく生産や販売の効率化にも波及します。
共同配送のネットワークは、単に“モノを運ぶ”だけでなく、“情報を循環させる仕組み”へと進化しているのです。

この流れを支えているのが、企業の意識変化です。
これまでの物流は、コストセンター(利益を生まない部門)として扱われることが多く、競合他社との情報共有は避けられてきました。
しかし今では、環境への責任や社会的要請が高まり、物流が「企業の社会的価値を測る指標」として重視されています。
その結果、ライバル企業同士が手を取り合う“協調の文化”が少しずつ根づき始めています。

さらに、国や自治体もこの動きを後押ししています。
国土交通省は「共同輸配送促進事業」などを通じて、CO₂削減や地域物流の維持を目的とした支援を実施。
地方自治体でも、商店街や中小企業が連携して共同配送拠点を整備する事例が増えています。
こうした官民一体の取り組みは、物流を「地域社会を支える共通のインフラ」として再定義する流れを加速させています。

今後の共同配送において重要になるのは“効率”と“信頼”の両立です。
いくらテクノロジーが進んでも、企業間の信頼がなければ協働は成り立ちません。
情報を正しく共有し、成果を公平に分配する仕組みづくりが欠かせないのです。
また、地域の特性や企業規模に応じた柔軟なモデル設計も求められます。大企業だけでなく、中小事業者や地域の運送会社が参加できる仕組みを整えることが、持続可能な物流ネットワークの鍵となるでしょう。

一方で、消費者の理解と協力も不可欠です。
「すぐ届く」だけでなく、「環境にやさしく届く」という価値観が社会に浸透すれば、企業の取り組みも加速します。
配送スピードよりも、持続可能性を重視する消費行動が広がることで、共同配送は社会全体のスタンダードへと成長していくはずです。

共同配送の本質は、「競争から共創へ」という発想の転換にあります。
環境負荷の軽減、労働環境の改善、地域経済の維持――それらを同時に実現するための新しい物流の形。
そして、それは物流業界だけの話ではなく、企業、行政、消費者のすべてが参加する“社会的共創”のプロジェクトでもあります。

効率と環境の両立をめざし、共に支え合う未来へ。
共同配送は、持続可能な社会を実現するための静かな革命を進めているのです。

✅ 今回で『環境とサステナブル配送シリーズ』は終了です。

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